2015年10月4日日曜日

橋の向こうの宇宙人

むかしむかしあるところに、小川があって、誰も渡らない橋が一本かかっていました。
その橋の向こうには、噴水のある小さな公園と小さな家がありましたが、橋を渡って公園に行く人は誰も居ません。
みんなが公園に行かなくなったのは、小さな家に宇宙人が住んでいるからでした。
この宇宙人と会うと、人はなぜか自分の心に持っている炎を見てしまいます。それだけなら構わないと思うでしょうが、炎に照らされてできてしまう自分の影からの声を感じ、影の姿を見ることになるのです。
どんな人も影は必ずできてしまいます。普段は全くそんなことを考えない、気にもならないという人でも、影を通じて、自分でも思ってもみなかった自分を見てしまうのです。不思議なことに、影は黒い影のままですが、自分のことだからでしょうか。どんどんいろいろなことが伝わってくるのでした。
そんなわけで、誰も宇宙人には会いたくありません。

町の人たちは、宇宙人に町から出て行ってもらいたくて、飛行機のチケットまで用意しているのですが、宇宙人に会って、その話しをする勇気のある人は、誰一人居ませんでした。

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