2015年10月21日水曜日

塔の中の炎

むかしむかしあるところに、ずっとずっと消えない炎がありました。
炎は、どれだけの大きさかもわからないほど、途方もない大きさの亀の背にある塔の中で、世界の始まるなお前から、ずっと燃えていました。
これが誰のものなのかについては、多くの見解があり、世界に文明が登場するようになってからこのかた、多くの宇宙人の文明も含めて、様々な意見が交わされ、争いも起きていました。
それこそ、気が遠くなるほど長く、いろいろと話し合われていますが、亀と塔と炎は多くの文明にある程度の痕跡が見られ、真面目に話し合いをすればするほど、全く埒があかなくなって誰もが困り果てるのでした。
そんなことがずっとずっと続いていたのですが、やがて、話し合いにこなくなる人たちが出てき始めました。そんなときは決まって戦争の準備をしていたりするので、また戦争になるのかと皆が肝を冷やしましたが、全く音信がなくなってしまったので、調べるとこれまでとは様子が違っていました。
話し合いに来なくなった人々は、塔を自分たちのものだと思い詰めるあまり、塔の炎の記憶を失っていて、それが自分たちのものだと考えること自体を忘れてしまっていたのです。
自分たちが住まう惑星が球体であることを発見し、世界の大きさほどもある亀など、どこにも存在の余地が無くなってしまった文明もありました。
そんなわけで、この島には、あらゆる思惑を持つ者は立ち入らず、この場所の存在にもこれ以上関わらない方が良いのではないかと、そんな風に話し合いが決着しました。塔の炎を大切に思いつづけるには、そうするのが一番の様です。
そんなわけで塔の他には、長い争いの後、ようやく復活した草原に住まう蜂や花たちだけを残して、もうだれもそこには近づかないことになったのです。
それからというもの、別々惑星や、時間、世界に住まう人々が会って話しをすることもすこしづつなくなっていきました。
あらゆる灯火が炎から電灯に変わるよりも、ずっと前のお話しです。