むかしむかしあるとろに、一匹の亀がいました。
亀はある日、どうしてもエジプトに行かねばならなくなったので、とりあえずリンゴを背中に乗せて出かけました。
亀はそれなりに急ぎの用事だったので、はやくエジプトに行きたかったのですが、歩くより他に手立てがありません。
とりあえず、いつもの人間に相談でもしたら、なにかいい知恵が降ってくるかもしれない。
亀は知り合いの男を訪ねて、エジプトに向かうことを告げ、早く着く知恵はないかと男に聞きましたが、男は困った顔です。
「人間ならパッと移動する方法を知ってると思ったんだけどなぁ」
「そもそも亀がエジプトに用事と知っただけで、普通の人は変に思うよ。その方がいろいろ余計な邪魔が入りそうだよ」
そんなものなのかと、亀は衝撃を受けましたが、とりあえず男とリンゴを食べてお茶にしてから、本当に本式にエジプトに向けて出発しました。
昼過ぎに出たんだから、まだ4時間も経ってない。そんなに簡単にいい考えを思いついたり、誰かのいい考えにありつけたりするわけがないか。
出鼻をくじかれて旅路を閉ざされた気分ですが、それはあくまで気分の話し。万年の寿命のうちならば、たどり着かないなんてことはないと亀は知っていましたから、ただ向かうだけのことです。
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