2015年10月6日火曜日

大王の墳墓

むかしむかしあるところに、一人の気のいい男が居ました。
ある日、男のところに宇宙人が訪ねてきて言います。
「これから我々は、幾つかの橋を正確な順番でまわり、古代の大王の墳墓に行かなければならない」
「どうして?」
「それは、今はわからなくていい。さぁ、出発しよう」
「橋を渡る順番はわかってるの?」
「それも、今はわからない。とにかく行ってみなければ、なんにもわからない」
わからないことだらけのままですが、男は宇宙人と一緒に出かけることにしました。
いくつもの川を渡り、幾度も古い王様のお墓を行き来しますが、なにもわからないし、なにも起こりません。
散々うろうろして、もうそこを通るのも何度目かになる、ある橋を渡ろうとしたとき、男が宇宙人を止めました。
「待って!よく見て!」
「7かな?数字の7に見えない?」
「それがどうしたんだ?」
「この橋は、7番目に渡る橋かも」
橋の欄干をよく見ると、確かに小さく「7」に見えなくもない数字が彫ってあります。
「なるほど」
それから二人は、方々の橋で数字を探し回りました。
いろいろ探したあげくに、男がため息をつきます。
「困ったぞ。数字はたくさん見つけたけど飛び飛びだし、数字の小さい順番通りだとしたら進み方がめちゃくちゃだ」
その通り。この辺りの橋はくまなく探しましたが、数字はきちんと順番になっていませんでしたし、数字の順番で橋を渡るとしたら、普通に道を歩いてはいけません。

二人は一旦男の家に帰って、いろいろ考えることにしました。
発見はありましたが、いろいろわからないことだらけのまま。冒険はまだまだ始まる様子がありません。

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